BONIQ代表インタビュー【前編】 いかに価値を感じてもらえるか。BONIQがこだわり続ける「ものづくり」の姿勢

BONIQ代表インタビュー【前編】 いかに価値を感じてもらえるか。BONIQがこだわり続ける「ものづくり」の姿勢

なぜ「低温調理器」を作り続けているのか、そのこだわりや「ものづくり」への想いなど、BONIQが考えていることをみなさまにお伝えしたいと思い、代表・羽田和広へのインタビューをお願いしました。

※前編・後編に分けてお伝えしていきます。

 食に興味がなかったからこそ「低温調理器」に惹かれた

- 「低温調理器」とはどのようにして出会ったのですか?

最初の出会いは、商品発掘をしにドイツの展示会を訪れたときですね。当時、ヨーロッパで家庭用の低温調理器が流行っていて、そこで「低温調理器」というものを初めて見ました。色々会社のブースに置いてあったので「なんだろう」と気になって、サンプルとして買ってみたのが始まりです。

実際に家で試してみたらとても美味しかったんです。日本で美味しいお肉といったら、和牛とか脂たっぷりのお肉だったので、当時自分はあまり肉を食べていなかったんですよ。でも、低温調理器で作ったお肉を食べてみたらすごく美味しくて驚きました。「自分でこんなに簡単に美味しくできるなら素晴らしい!」と思い、そこから低温調理について勉強してみることにしたんです。

- 元々食への興味が強かったのですか?

いえ、実は食に興味があったわけではないんです。どちらかというと疎かにしていましたね。でも、逆に料理好きな人だったら、低温調理器がなくても時間をかけさえすれば美味しい料理が作れてしまうので、普段まったく料理をしない自分だったから惹かれたのかもしれません。
また、年齢も35歳を過ぎてお腹も出てきた事実を認識し始めたので、そろそろ健康の為の食事を意識しなければと思っていたタイミングでした。

「いかに価値を感じてもらえるか」ものづくりをする上で大切にしていること

- 専門メーカーとして低温調理器を作り続けているのはBONIQだけですよね。その点が既に他社と違うとは思うのですが、他に羽田さん自身が感じられている違いはありますか?

そうですね。そもそも会社の利益をあげるための「ビジネスの商材」という認識でやっていないところでしょうか。低温調理器をいかに広めていくかを常に考えています。低温調理器が広まることによって、自分がそうだった様に新しい食習慣を人々に提案できる。それを日々とても強く感じています。なぜこれを使うべきなのか、使ったらどういうメリットがその人にあるのか、そういったことを言語化してコンテンツにしていくことが大切だと思っています。

- 販売したあとの呼びかけも大切にされているんですね。

正直、工場にお金さえ支払えば誰でも大概のものは作れてしまう時代です。仮に特許で守られていたとしても、似たようなものはいくらでも作れてしまう中で競争するのが資本主義です。その世界観で仕事をするよりも、使ってくださるお客様側の考え方ひとつ、情報量ひとつで、低温調理器の解釈が変わると考えています。そこの価値を高めていくためにコンテンツを通してしっかり提案していく。こうやって使ってほしい。そうしたらこういうメリットがありますよ。と伝えていくことがより大切だと思っています。

- BONIQのブログでも「作り手の想い」「お客様への想い」がとても伝わってきますよね。良いものだからみんなに使ってほしい、という気持ちが溢れているように感じます。実際にディスプレイの表示や音へのこだわりだったり、そういった部分はユーザーのことを考えていないと辿り着かない部分かなとも思います。

そうですね。商品を広めていきたいと思ったとき、ものづくりって「二つの分岐点」があるんです。必要最低限でいかに安く作るかという選択肢と、できるだけお客様が使ったときに心地よく感じてもらえるように作るかという選択肢。単純に僕らはモノを作るのであれば、いかに安くよりは、いかに価値を感じてもらうかを工夫して追求した方がやっていても面白いし、受け取ってもらった人にも「買ってよかったです」と言ってもらえる確率が高くなると思っています。そういう概念で商品を作っているんですよね。それが低温調理器ではなく違うPRODUCTだったとしても、僕らのやることは一緒です。その商品(ハード)を高めるソフト面をしっかり提案して、ものづくりに対してもそのこだわりの部分をいかに表現していくかだと思っています。

ある原体験に学んだものづくりの姿勢。BONIQがこだわり続ける「行間」の部分

- 羽田さんがものづくりをしたいと思ったきっかけは何だったのでしょう?

きっかけは iPhone なんです。iPhoneを初めて購入したとき、そしてそのこだわりに初めて触れたときに、まったく違う価値観でものづくりをしていると知って感動しました。それまでの携帯電話とは違い、iPhone は箱も美しくとても感動しました。上箱と下箱の収まり具合。気になって調べてみたらミリ単位でこだわって作っていることを知ったんです。箱を開けたときにも美しくなるようにと。その当時はその箱を作る機械もなかったそうですが、そこに投資して作るこだわりにも感動しました。

- だから他とは違うものが作れるんですね。

そうなんです。プロとアマチュアの違いは解像度の違いだと思っています。一センチ単位で話すか、ミリ単位で話すか。

- そのこだわりは、BONIQ pro2 のディスプレイにも感じられます。以前の形でも数字としては認識できるのに、より見せ方を追求されていますよね。

そうですね。その違いはそういった感動とも言える原体験からきているんだと思います。作り手側のこだわりって、知らなくても気付けるというか、手にしたときになんとなく感じてもらえる部分だと思っています。

- そこまでいくと「もの」というより「体験」という感じですね。

お客様にはわからないこだわりが「行間」の部分。文字にされていないのに空気感として伝わるのはそういう部分なんじゃないかと思っています。ものづくりをしていく中で、僕らもどんどん解像度が高まっていくのを感じています。正直、人間も同じだと思っています。24時間365日、何を考え、何をしたか?によってその人の雰囲気が作られるという。

後編に続く

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